2020年2月20日木曜日

Mon retour d'origine

そのワインに出会ったのは25年以上前でした。その後の方向性や人生を変えた一本だったと思います。フランスにワイン留学をしていた頃、たまたま飲んだ一本がその後の自分を決める衝撃的な出会いであった事は間違いありません。

アンドレ・イッシェが作るChateau d'Oupiaのワイン。私自身、今でこそラングドックのワインを日本で広めるべく活動をしていますがこのワインと出会わなかったらそれは無かったと思います。ハッキリとそう言いきれる程、私はこの人のワインでこの土地に惹かれてしまいました。

今ほど情報もなく手探りでこの地のワインを探し回り、知りたい一心で産地の赴いて自分の目と舌で一歩一歩理解を深めていきましたが、多分アンドレ・イッシェさんとの出会いがなければ私の理解も時間がかかったと思います。私はとにかく彼のもとを何度も訪れラングドックの事を聞かせてもらいました。それはこの地の歴史、現状、思い描く未来など何度も聞かせてもらいました。

彼は自分以外にも他のエリアの優良な造り手に会うことも勧めてくれました。さらにその手配までしてくれました。そのおかげで私自身がこの地のワインの可能性を感じ、これからの人生をかけてもいいと思える程に理解を深めることができました。

控えめでいて自ら表立って主張する方ではなく、実直でありながら情熱的なアプローチで品質高めていく姿勢。深い理解力と観察眼があり、無理や見栄のない対応をする方でした。そんなお付き合いをしていく中、いつしか私の中では彼のワインがこの地の指標になっていきました。それは私が選択の際、重要な指標として今でも息づいています。

残念ながらアンドレさんは長い闘病の末2007年11月にお亡くなりになりました。私にとっても大きな損失でありラングドックにとっても大きな松明の火が消えた出来事でした。

私は渡仏するたび彼の墓前に出向きその時その時の思いや感じている事を話してきました。生前のように優しくうなずき聞いてくれる事はありませんでしたが私の話を受け止めてくれているような気がしていました。

生前よくおっしゃってました「何事も根っこが大事なんだよ、葡萄の木だってだっていい根っこがなきゃいい葡萄は出来ないんだよ」その頃はピンときませんでしたが今思うとシンプルだけど万物に共通する物事の捉え方だなとしみじみ感じます。葡萄でも建物でも「基礎」と呼ばれる部分は目立たないし普段存在すら意識しないものです。しかしこの「基礎」がなければ目に見える部分は乗っからない訳です。

その「基礎」を根っこと表現して私に教えてくれたわけです。要はどこが大事どこを見るべきか!それを気づかせてくれた訳です。ワインだけ見てても見えない事がたくさんあります。産地や造り手の頭の中、状況や考え方の変化、描く将来像などなど...

それ以外の部分に注意深く目を向けることで全体が掴めてくる。それを継続して何年もかけて観察することで見えなかったものが見えてくる。

その教えは後に私の仕事の中で大きな礎となり大事な事を気づかせてくださった言葉として私のなかで生き続けています。

私がどこまであなたに近づけるかわかりませんがあなたのエスプリを胸に今日も明日も私が出来る限り追い続けます。Pour toujours...

C'est mon original...

今回、約10年振りにシャトー・ドゥーピアが特別限定輸入にて入荷します。
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